「木下コレクション」は、平成9年(1997)に故 木下満男氏(1932-1996)から掛川市に寄贈された、たばこ道具をはじめとする美術工芸品のコレクションです。
氏は掛川市の出身で、精密機械の検査機器などを製造する電子磁気工業株式会社(本社東京)、不動産会社の株式会社ぼくみつ(本社東京)を設立し、実業家として成功をおさめました。
氏は知人の勧めから書画骨董に興味を持ち、昭和30年代から古美術全般にわたり収集をはじめ、特に昭和50年代から60年代にかけて多くの美術骨董品を集めました。その中でも、特に氏が興味を持たれたのがたばこ道具です。
実用と装飾を兼ね備えたたばこ道具は、多彩な意匠と細密な技巧で、美しいだけでなく歴史的にも価値のある文物として、その姿を今に伝えています。
氏は、これらたばこ道具に見られる彫金技術の高さにことのほか興味を惹かれました。それゆえ収蔵品の半数にあたる約1,000点がたばこ道具で占められており、コレクションの中枢を成すものとなっています。
また、収蔵品はたばこ道具のみならず、印籠・刀装具・化粧道具といった細密工芸品、明治期の蒔絵・彫金作品など多岐にわたり、氏の収集精神と審美眼の高さをうかがい知ることができます。